流れ星に4回目の願いを呟く時。
「よし、ゆうか。帰ろうか。」


「うん、お兄ちゃん。」


 確かに兄妹には違い無いようだ。ゆうかちゃんには悪いが、未だこのような手の込んだ演技が出来るはずが無い。


 疲れた目元が気になった。あの様子だと、随分寝ていないと見える。


「さようなら、ゆうかさん。」


「ほら、ゆうか。先生にバイバイな。」



 しかし、よく出来たお兄さんだ。手を振りながら、2人が帰っていく後ろ姿を眺める。


 背が高く、随分身長も離れているにもかかわらず、きちんと手を繋いであげており、雪で滑りやすい坂になっている出口の所では、妹をおぶってあげていた。


 考え過ぎか。


「先生寒いよ。」


 気になって、ドアを閉めるのを忘れていた。


「ごめんごめん。」



< 38 / 210 >

この作品をシェア

pagetop