流れ星に4回目の願いを呟く時。
 この町に来てもそれは変わらなくて、それが寂しくもあり、また懐かしくもあり、どこか痛がゆくもあった。


 奈留早町では初雪が12月の頭までには観測される。雪が降る寒い町は、私が生まれ育った暖かい町とは全く違う人と日々で構成されていて、毎日が新鮮である。


 こちらの人々は意外に冷たくて、慣れない雪道に転けても、バス停の場所が分からなくて困っていても、ゴミ出しのルールを間違えても、誰も声をかけようとはしない。

 これが余所者が受ける通過儀礼だとすれば、心が折れるに違いない。


 なるほど。確かに私は明るい人間だったのかもしれない。もし見知らぬ誰かが困っているのを見つければ、いくら人目があって恥ずかしくても、一目散に駆け付けて助けるだろう。


 真っ赤になった顔はどちらが困っているのか見分けが付かないが、そこに冷たさはチラりとも顔を見せることは無い。



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