流れ星に4回目の願いを呟く時。
 ゆり組の準備も大詰めを迎えていた。しかしながら、困ったこともある。


 どこよりも早くから、赤い服を着たその新参者を迎えるのをいつかいつかと心待ちにしているのが普通の園児なのだが、うちの好奇心旺盛な子どもたちには、それが、当てはまらなかった。


「エントツから入って来れるわけ無いよ」という子がいれば「どうやってトナカイは空を飛ぶのかな。」なんて声も聞こえて来る。


 その氷柱のような鋭い刃が、準備に頑張る先生には痛く突き刺さるものだ。


「ちょっと、男の子たち。早くトナカイの絵を描かないとケーキが食べれなくなっちゃうよ。」


 しかし、そうは言ってもまだまだ幼い可愛い子ども。信じていようがいまいが、ケーキの甘さだけは、異論は無いようだ。




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