流れ星に4回目の願いを呟く時。
「お疲れ様でした。」


「あ、山崎先生。お正月の件、考えておいてよ。」


 久しぶりに定時に帰れた。夕方のバスに乗るのも3週間ぶりくらいだろう。


 流石は年末。乗客は少なく、席はがらがら。運転手も少し張り合いがなさそうで、欠伸なんてしている。


 不思議なことに、クリスマス以降、雪はパタリと止んだ。赤い服の彼が去るのを確認して空も安心したのか、あれほど留守だった夕日も近頃はよく町を照らしている。


 バス停に着き、勢いよく飛び降りた。転びそうにはなるが、転ばない。この町にも随分慣れたものであると、実感する瞬間だろう。


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