流れ星に4回目の願いを呟く時。
「流れ星に3回願いごとを言う理由?」


 子どもたちが帰った後、職員室はその話で盛り上がった。


「だって、3回ですよ。あんなに速くて、いつ見れるかも分からないのに、ちょっと理不尽過ぎませんか。」


 必死に語る私を見て、皆笑った。教育大学を出てから直ぐに始まったこの保育士生活は日々格闘である。


「そんなこと、普通考える?」


 若い由美子先生が一番に話しに乗ってきてくれた。


「だって、子どもたちが知りたいって言うんですよ。答えないと。」


 ゆり組の子どもたちは好奇心旺盛。常に気になることを聞きたがる。日によっては、その質問に答えることで1日の半分を費やすことも少なくない。



「ゆり組の年中さんは元気があって良いわね。うちなんて、もう直ぐクリスマスなのに、皆眠そうにしてるわよ。」


 まあ確かに、陰気な子どもよりは元気な子どもの方が良いけれども、あまり元気が良すぎるのも困り者だ。


 私は少し納得の行かないような顔を浮かべながらも、由美子先生の言葉に浅く相づちを入れた。




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