流れ星に4回目の願いを呟く時。
「でも、そう考えてみれば、確かに不思議な話しよね。」


 子ども達が帰って、同僚達と無駄話をしていると、そこへ出張から帰ってきた園長先生がやって来た。


「園長先生、おかえりなさい。そうなんですよ。」


 園長が持って帰って来たお土産に由美子は心を奪われたらしく、直ぐに会話から離脱した。


「まあ、この町には雨を降らせるという迷信もあるけど、そもそも流星が願いごとを叶えてくれるっていうこと自体も迷信とも取れるわよね。」


「確かにそうだ。」


 奈留早出身の由美子は口に鰻パイを頬張りながら、園長の言葉に納得していた。


 しかし、私はどうも納得していなかった。そうなると何というか、何も解決したことにはならないからだ。時間が全てを解決してくれるとか言うことと、全く同じように感じるくらい、説得力が無い。


「でも、信じるのも良いじゃない。夢があって。うちはそう言う夢を持った明るい子どもの保育をモットーとしてるんだから。頑張って悩みなさいな、ホタルちゃん。」


 夢を持った明るい子ども。園長や由美子はまるで、そんな子どもがそのまま大人になったような人間のように感じた。


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