流れ星に4回目の願いを呟く時。
5. 凪の海
5. 凪の海
この気持ちをどう表せば良いのだろう。
夕日がゆっくりと山へ沈みゆく頃、何だか心のどこかの部分が、どうしようもないくらい落ち着かなくなる。
その町に自分はいて、自分の住んでいる町のいつもと変わらない、いつもの景色なのに、この感覚はやって来た。
まるで自分が何処にいるのか、何をしていたのか、その全てが忘れさられている。
おそらくこの気持ちは、誰もが幼い頃に感じていたもので、それを強く懐かしんでいたからかもしれない。
たとえ旅を住処にしているとしても、人は皆それぞれに帰る場所があって、そこへ帰るという習性を、産まれる前から既に埋め込まれているのだろう。
友枝町に着く頃には、もうすっかり昼間の太陽はその熱さを失っていた。