流れ星に４回目の願いを呟く時。

　古びた駄菓子屋の大きなドア窓にうっすらと、茜色に身を包む見慣れた校舎が見えてきた。


　無駄に背の高いスピーカーからは夕方のチャイムが流れ、懐かしい町の情景が一気に現れてくる。


　連休とあってか、混みに混んだ高速を降りた時はホッとしたものだったが、やはりこの町のものとは比べ物にならない。


　去年も帰って来たし、２３の時まで毎日暮らしていた町なのだが、やはり、久しぶりに帰って来たんだな、と思ってしまう。


　公園の角を曲がり、緩やかな坂を登って行くと、玄関の前に見慣れたエプロン姿が手を振るのが目に入った。


「夜になるって言ってたけど、案外早かったわね。」


　当たり前だが、母は相変わらず去年のままだった。車の窓越しに私とそんな感じの会話をしてから、ここまで本当に着いてきてしまった由美子と大袈裟な挨拶をして、私たちはついに来たかと、その足を友枝の町に下ろした。


　雪の町とは違う、温い風が私たちを包んだ。