私の小さな願い事
~土方歳三~
慶喜様から、依里がさらわれた故
探索の為、お呼びがかかった
しかし……
依里の女中 多津がコソッと文を渡してきた
「どうか、依里様を逃がして下さい」
試衛館の幹部だけを集め
廻りに見られないように、輪になり
文を開いた
『土方様
慶喜様が依里様のお命を狙い、毒殺をしようとしております
助けて下さい 多津
依里様は、自分で逃げました
目も耳も回復しております
どこかで匿うなり、逃がすなり
どうか、依里様をお助け下さい』
土「どうする?」
永「んなの、聞くか?」
原「俺んちに匿えば?子連れ同士、気も合うだろ!?」
藤「うわっ!!珍しく冴えてるね!!」
斎「例え、命令違反と言われても
妹を見捨てる訳には、いきませんね」
沖「絶対、守ります!ケホッ」
近「歳!指揮しろ!
俺が、責任とる!」
土「依里を見つけ次第、ひとまず原田の家に匿おう!俺は、このまま東宮様に相談する
この事は、誰にも知られないように
あくまでも、さらわれた依里を探すふりを忘れるな!!」
総司は、労咳で体調が良くなかった
それでも、依里がさらわれたと聞いて
無理してついてきた
慶喜様に、命を狙われていると知り
総司の目がぎらつく
裏切りを嫌う総司だから、突っ走ると困る
「総司、お前は俺と来い!」
解散して、総司と御所へ
優との付き合いがあったおかげで
すんなり東宮様に会える
文を見せた
「頭を呼べ」
東宮様に呼ばれた隠密の頭が
山崎のように、廊下の天井から現れる
文を頭に見せ
「依里が行きそうな所に心当たりは?」
「訓練用の空き家です」
「土方、匿えるか?」
「はい」
「では、援護しろ」
東宮様の隠密に援護して貰えるなら
心強い
訓練用の空き家の廻りには、たくさん家がある
どこも空き家で、一軒をぐるりと囲っている
赤子の泣き声がして
真ん中の空き家に、入ると
血の臭い
「依里…ひとりで、産んだのか?」
朦朧としている依里の頭をぐしゃぐしゃに撫でる
「もう、大丈夫だからな!!」
「依里、目が見えるんでしょ?
耳も治ったって、多津が文をくれたんだよ」
依里は、何も喋らない
目線も合わなければ、聞こえている素振りもない
俺がわかるから頭を撫でても
驚かなかったんだろ?
「依里?」
「ころさないで…」
赤子の体を拭きながら、ポツリと呟いた
「依里…お前!!出血が!!」
依里の方は、へその緒がそのままで
子の方は、きちんとしている
母親ってのは、凄えな
頭が、処置をしてくれている間
総司が子を布で包む
「可愛いですねぇ!!」
「女の子だから、優里だな」
「うん」
聞こえてんじゃねぇかよ
「着替えたら、キツいだろうが
原田の家に行くぞ!
子の育て方を習えよ!
落ち着いてから、先のことを考えればいい
とにかく、ここを出よう」
「あの……信じていいのかな?」
依里は、旦那に裏切られたばかりだ
「心配すんな!!俺達が守ってやる!」
前にも言ったけど、この言葉
この気持ちに偽りが無いことを
依里にわかって欲しかった
依里の目から、涙がこぼれ落ちる
次から次へと
「歳三ぉ…助けて」
こんなに弱くなった
依里が可哀想で、抱きしめて
泣かせてやった
ずっと、我慢してたんだな
よく頑張った
ちゃんと逃げて偉かった!!
声にして、誉めてやりたかったが
涙で、喉が詰まって
抱きしめるのがやっとだった
慶喜様から、依里がさらわれた故
探索の為、お呼びがかかった
しかし……
依里の女中 多津がコソッと文を渡してきた
「どうか、依里様を逃がして下さい」
試衛館の幹部だけを集め
廻りに見られないように、輪になり
文を開いた
『土方様
慶喜様が依里様のお命を狙い、毒殺をしようとしております
助けて下さい 多津
依里様は、自分で逃げました
目も耳も回復しております
どこかで匿うなり、逃がすなり
どうか、依里様をお助け下さい』
土「どうする?」
永「んなの、聞くか?」
原「俺んちに匿えば?子連れ同士、気も合うだろ!?」
藤「うわっ!!珍しく冴えてるね!!」
斎「例え、命令違反と言われても
妹を見捨てる訳には、いきませんね」
沖「絶対、守ります!ケホッ」
近「歳!指揮しろ!
俺が、責任とる!」
土「依里を見つけ次第、ひとまず原田の家に匿おう!俺は、このまま東宮様に相談する
この事は、誰にも知られないように
あくまでも、さらわれた依里を探すふりを忘れるな!!」
総司は、労咳で体調が良くなかった
それでも、依里がさらわれたと聞いて
無理してついてきた
慶喜様に、命を狙われていると知り
総司の目がぎらつく
裏切りを嫌う総司だから、突っ走ると困る
「総司、お前は俺と来い!」
解散して、総司と御所へ
優との付き合いがあったおかげで
すんなり東宮様に会える
文を見せた
「頭を呼べ」
東宮様に呼ばれた隠密の頭が
山崎のように、廊下の天井から現れる
文を頭に見せ
「依里が行きそうな所に心当たりは?」
「訓練用の空き家です」
「土方、匿えるか?」
「はい」
「では、援護しろ」
東宮様の隠密に援護して貰えるなら
心強い
訓練用の空き家の廻りには、たくさん家がある
どこも空き家で、一軒をぐるりと囲っている
赤子の泣き声がして
真ん中の空き家に、入ると
血の臭い
「依里…ひとりで、産んだのか?」
朦朧としている依里の頭をぐしゃぐしゃに撫でる
「もう、大丈夫だからな!!」
「依里、目が見えるんでしょ?
耳も治ったって、多津が文をくれたんだよ」
依里は、何も喋らない
目線も合わなければ、聞こえている素振りもない
俺がわかるから頭を撫でても
驚かなかったんだろ?
「依里?」
「ころさないで…」
赤子の体を拭きながら、ポツリと呟いた
「依里…お前!!出血が!!」
依里の方は、へその緒がそのままで
子の方は、きちんとしている
母親ってのは、凄えな
頭が、処置をしてくれている間
総司が子を布で包む
「可愛いですねぇ!!」
「女の子だから、優里だな」
「うん」
聞こえてんじゃねぇかよ
「着替えたら、キツいだろうが
原田の家に行くぞ!
子の育て方を習えよ!
落ち着いてから、先のことを考えればいい
とにかく、ここを出よう」
「あの……信じていいのかな?」
依里は、旦那に裏切られたばかりだ
「心配すんな!!俺達が守ってやる!」
前にも言ったけど、この言葉
この気持ちに偽りが無いことを
依里にわかって欲しかった
依里の目から、涙がこぼれ落ちる
次から次へと
「歳三ぉ…助けて」
こんなに弱くなった
依里が可哀想で、抱きしめて
泣かせてやった
ずっと、我慢してたんだな
よく頑張った
ちゃんと逃げて偉かった!!
声にして、誉めてやりたかったが
涙で、喉が詰まって
抱きしめるのがやっとだった