私の小さな願い事
「探したで?どこほっつき歩いてたんや?」


男と別れ、屋根上で烝に怒られる


「落ちてた…」

「また?体力の問題ちゃうな!!
集中できてへんのや!!
落ちたとこに敵でもおってみぃ!!
斬られんで!!!」


実際、敵がいた

だけど、仲良く会話しただけ

斬られることなく、教えを受けた


「うわ!桂小五郎や!!
依里…先、帰り!!俺は、後追うわ!!」



烝の視線の先にいたのは、さっきの男

長州の人と思ったけど

なるほど……


あの男に、ついて行きたいと思うはずだ



多分、桂小五郎は、捕まえられない



そう思い、心配にもならず


左之の家に帰った


「おかえり!依里!
優里、良い子に待ってたわよ!!」


スヤスヤ眠る優里を撫でた










私は、迷っている


富沢さんという方に甘えるべきか

優里と二人で生きていくか




もうすぐ、富沢さんが迎えに来る




とりあえず、江戸まで連れて行って貰おう


それから、働き口が
見つかるまで、お世話になろうかな



あつかましく、甘えていいのか悩むけど

お金もないし、京に居続ける訳には、いかない






悩んでいたが… 



それどころでなくなったのは、数日後

大勢の足音が近づいてくる


少ない荷物を持ち、紐で優里をおんぶして

おまさに頭を下げた



「おまさ!!ありがとう!!
お世話になりました!!」

一方的に別れを告げた


どうして、ここがバレたのか

そんなのわからないけど…

新選組の幹部を疑いたくない


屋根上を伝い走る


行く当てなんてない


それでも、走り続けた



遠くへ



遠くへ




おまさに、迷惑をかけてしまったことを
申し訳なく思う



巻き込んでしまったけど


私がいなければ、大丈夫よね









< 105 / 153 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop