私の小さな願い事
「桜~ 父上だぞぉ~」
高杉…やめろ!!!
桂から、雇われて数日
優里を高杉にとられた……
まぁ 懐いてるし、洗濯とかの時は
私も助かる
横目で睨んでおくけど
「小桃の生まれは?」
「江戸だよ」
「桂さんと、どこで知り合ったの?」
「……」
疑われてる???
「何で、黙る?」
「やっぱり……お邪魔だから、出て行く」
もしも
正体がバレたら、殺される
優里を守らなくちゃ!!!
「ダメダメ!小桃がいなくなったら困る!
聞いてみただけだ!!
言いたくなければ、言わなくていい!!
もう、聞かないから!!ごめん!!!」
へ?
高杉… 良い奴かも…
「でも……迷惑なら、出て行くから
その時は、言ってね」
ちょっと… 泣きそう…
「小桃ってさ
桜以外に大切な人いる?」
高杉は、痛いとこをつく
「桂さんが小桃をほっとけなかった理由
よくわかる
諦めることに、慣れすぎ!!!
もっと欲張りになれ!!
俺達といれば、守ってやるからな!!」
歳三の言葉に似てて、胸がズキッとした
ここにいると、私はこの人達を裏切り続けることになる
私が家茂の妹だと知ったら
やっぱり、どんなに仲良くなっても
殺される
「高杉さん、私に深入りしないで…」
心を許したら、また辛くなる
「小桃……ごめんな」
高杉…ごめん
欲張りには、どうやればなれるの?
長州だとか、敵だとか
そんなことよりも、桂に拾って貰った恩を
きちんと返したい
私は、一生懸命働いた
皆が私の料理をおいしいと食べる
繕い物を頼みに来たり
洗濯物に繕い物を見つけ、縫っておくと
わざわざお礼を言われたり
掃除をしていたら、頑張れと励まされたり
ようやく気づいた
同じだ
長州だから、敵だと思い込んでたけど
悪人であるわけでもなく
考え方や、やり方が少し違うだけで
求めているものは、同じ
争いは必要ない
その通りだ
なぜ刀を振る?
私の敵は、誰?
「どうした?小桃?」
「桂さん、前に桂さんから言われたこと
考えてたの
争いは、必要ないなぁって!
私、ここの人達、皆大好き!
桂さん!ありがとうございます!」
「皆も小桃が好きだぞ!いつも頑張ってくれて、こちらこそ、ありがとう!!」
いつか、必ず別れるけど
その日が来るまで、桂さんの為に
一生懸命に働こう
いつか、兄が言った
外に出れば、そこも私の居場所になる
今の居場所は、ここだ