私の小さな願い事
不思議な事  


だけど…


優が私に何か伝えたいんだと思った




時々 見る夢で新選組の伊東さんが
この辺りを通ることがわかった

私も、高杉さんも見つかったら、大変!


優のおかげで、鉢合わせにならずにすんだ


それから、高杉さんに妻と息子がいること

夢で知った



こっそり文を送る


高杉さんは、永くない

桜山の小さな小屋に、療養地を選んだ


ここに来てくれるといいな






私の文を見てすぐ

高杉さんの一家と、ご友人が集まった


そして…


皆に囲まれて、幸せそうに


笑って


この世を去りました



桜が満開で


笑って送りたくて、泣くもんかと

上を見ると、涙があふれた


夢と同じ……








亡くなる数日前だった


「依里… なぁ… 寒い…」


高杉さんが、私を依里と呼んだ


寒いと言うから、布団の上から高杉さんを

包む

重いかな?


「あったけ…… 依里… 子供みてぇ」


どういう意味かしら?


「依里…」

「なあに?」

「桜に会えたか?」


また、不思議な事を言う


「桜が咲いたの間違い?」

「……ははっ それ」


なんだ、もう!おどかすんだから!!


「遠く離れてても、どこにいても
この時期……ゲホッ
桜に会えると思え……ケホ
ついででいいから、俺を…
思い出させよ…」


私といると、優里が危ない

だから、手放した


さみしいし、辛いけど


我慢しなくちゃって、思っていた



高杉さん…



ずっと覚えているよ



桜を見る度に、優里と遊んで笑っていた

高杉さんを思い出すよ





だから…





高杉さんも、私の中にいて下さい










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