私の小さな願い事
大阪の天子様と合流してから、男装した

隠密の頭達は、健在で

今回も、一緒に江戸へ



江戸城についてから、懐妊中であることを話した


案の定、無理して!!と怒られたけど


「江戸に来るのも、これで最後かもと思ったので……」


そういうと、「そうだな」

と、困った顔のまま笑った



江戸城で、木戸さんは珍しく酔いつぶれる

仕方なく…

翌日、遠藤さんと出掛けた


優里を遠目に見るため



富沢さんには、会ったことないけど
大方の住まいをきいているので

一か八か、行ってみた



一目で優里がわかった



「桃さん?」

「…大きくなって
うふふっ 幸せそうね!」


良い着物、可愛い髪飾り

安心した



「帰りましょうか」

「はあ?もう、いいのですか?」

「十分です」






それから、ひとつき

江戸城で、過ごした

ここに優がいないのが、不思議



廊下を歩いていても

ここで見つかったとか、捕まったとか


優のことをたくさん思い出した




母上にも会っておきたいけど

私が生きている

長州にいると知られるのは、都合が悪い



気持ち、朝晩




母上を思うことにした

兄と私を産んで、すぐに私を手放した


私を守る為



優里を産んで、その気持ちがわかった


慶太郎の時は、何もわからないうちに
引き離されたから


悲しみも我慢するしかなかった



歳三とは、縁がなかった




だけど、この子は私を選んでくれた

遠くで戦をしている

歳三と私を繋ぐ子




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