私の小さな願い事
布団ごと俺の部屋に移動して

様子を見る



寝顔を見ていても、よりに見える

やはり、双子の妹だろうか…










翌日、昼過ぎのこと



行方不明の姫君を捜している女が来た


「あ」

「あら、どうも…」


二条城で喋らずの姫に遣えていた女中だった


「私がおそばを離れたばかりに、姫がさらわれて… お怪我は?ご無事で?」


このまま会えば、今度はこの女中が

倒れそうな気がして


今の状態を先に話す



「よほど恐ろしいことがあったのでしょう
可哀想に……姫様に会わせて下さい!!」



覚悟が出来たようなので

俺の部屋へ


「姫様!!よくご無事で!!
わかりますか?」


キョトンとしたまま、瞬きをする

ん、わかってねぇな……


「姫!!優です!!
わからないのですか?」


にこっと笑った



「姫様…」



女中が姫の顔に触れる


「わからないのですね…」




落胆している女中に尋ねた


「姫様のお名前は?」

「こちら、徳川家茂様の妹君です!
やすやす名前を言えません!!」

「いや、名前呼んだ方が反応あるかなって」

気の強い女だ

恐ろしいくらいに睨みあげてくる


「姫様…東宮様がお待ちです
帰りましょう」


うっすら笑ったまま、遠くを見る


「姫様…」


「まだ立てないんだ
動けるまで、俺に面倒見させてくれねぇか」

「なっ!!なにを!!
姫様のお世話は、私の仕事!!
すべて私が任されているの!!
それに、貴方……男でしょう!!
姫様は、いずれ東宮様の奥方になります!
触らないでいただきたい!!」

「じゃあ……お前もここに泊まれ
布団は、俺のを使え
姫のそばいてやってくれ」

「えっらそうに!!」

「あ?」

「何様ですの?偉そうに!!」


「うふふ」



!!!!!


聞き間違えじゃない……

俺らの口喧嘩に笑った


「姫様~早く元気になって、帰りましょう!
こんな所にいたら、馬鹿が移ります!!」

「なんだとごら!!」


「ふふふ」


間違いない

笑った

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