私の小さな願い事
寝食共にするようになり


怯えることが減った

調子の良いときは、庭の散歩が出来た


「敬助は、どうしてる?」


「……」


言って良いのだろうか
いずれわかること
隠し事は、良くない


「脱走して切腹になったそうです」


局中法度のことは、依里様も知っている


「そう……嫌な予感したのよね……
もしも、私の子が命を落としていたら
敬助があの世で遊び相手してくれるかな」


「お子は、無事ですよ!
便りがないのは、元気な証拠!!
そのうち、江戸についたと知らせが届きますよ!!あ!お名前は?」

「ふふっ 慶喜様におまかせしたの
すごく悩んでるみたいなの」




その夜


慶太郎 と書かれた半紙を持ち


どうだ?という顔で依里様を見る慶喜様


「うん!!いいですね!!さすが!!」


「次が女子なら、依里の字を貰おう!!」


「わっ私、しばらくお子は……」


依里様は、妊娠中何があったのか

教えてくれない


きっと、慶太郎様が向こうの手にあるから

母として、守っているのでしょう


こんなに追い詰められているのに



「依里様!!次は、私を世話役に
して下さいまし!!
私なら、依里様の扱いが上手でしょ?」

冗談交じりに真剣に言った


「うん! 優がそばにいてくれるなら
怖くない!!」


よほど、怖いことがあったのに

そう言って、信頼してくれる

何よりも嬉しい褒美だわ



「依里様の正式な女中に、お戻し下さいませんか?」

「あら?歳三に会えなくなるわよ?」

「依里様がいたら、それでいいです」

「駄目よ!!私は、旦那様に会えなくて
とても、辛かったわ!!
優にそんな、辛い想いをして欲しくないの」


またまた、真っ赤な慶喜様


「優が来たいときに、来てくれて
依里が優を必要な時に、来てもらえば
いつでも、会えるだろう?
二人は、姉妹のようで、恋仲のようだな」





依里様の恐怖は、だんだん減った

前と変わらない生活が出来るまでに

かなり時間がかかった










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