私の小さな願い事
~慶喜~



優が帰った後、やはりひとりになると
震える

その震えを俺に悟られまいとする

こんなに辛いのに、他人を心配して

バカだ……

さみしい想いをさせすぎたのだな


近頃、依里はさらりと照れるようなことを言う

俺に会いたかったとか

俺がいてくれるとか


もしかしたら…


依里は、やっと俺に恋心を抱いたのか?






だとしたら、嬉しい





依里の体力も回復したので、新選組と仕事をさせることにした

キツくなったら、すぐ外れられるように

側近に頼んである





なぜ、新選組と仕事かというと


土方歳三



朝から、顔を見てやろうと近づく


「え?なにか?」

「お前が土方歳三か?」

「はい」

「依里が世話になったそうだな」

「あ…はい」

「ちょっと!!慶喜様!!
何してるんですか!!さっさと籠に!!
遊びに行くんじゃないんだから!!」


土方歳三をギロギロ睨んだから

依里が間に入ってきた


ちょっと気にくわない!!


籠にのり、ほっぺを膨らませた

「ぷっ かわいい
慶太郎が拗ねてるみたい」


かわいいとか、男に言うな!!!

嬉しいけど



依里は、無事に仕事を終えた



「体調は、どうだ?」

「大丈夫!」

「そうか、また一緒にいられるな!」


依里が赤くなった

初めて俺を許してくれた時以来に見る

照れた顔

やはり、依里は俺に恋心を!!!


実は、あの一度切りで、依里を抱いていない

正確には、大変だからと許してくれなかった

何が大変なのか?
確かにひとりでオロオロバタバタと
過剰に暴れていたが




「依里…今夜、また月見をしよう」

「うん」 


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