私の小さな願い事

～土方歳三～



依里が毒を飲んだ日

優が逝ってしまった


翌日に御所から、使者が来て渡された文を持ったまま


しばらく動けなかった


依里がもし、目覚めていたら連れて行こう


そう思い、二条城へ


不幸なことは、一度に来るものなのか？


｢依里！！｣


慶喜様から、依里の話を聞いた

廊下は、足音が響くそうで、庭から依里を見ながら話した

俺の声なんて、聞こえなくて

依里がもう、依里じゃないように思えた


｢慶喜様…　優が亡くなったんですけど
依里には、伝えますか？｣

｢そんなに悪かったのか…
依里は、ずっと見舞いに行きたがっていた
行かせてやればよかった…
土方、すまん
懐妊がわかり、これ以上の心労は避けたい
俺が依里の代わりに見送っても構わぬか？｣

｢優が……
東宮様に自分のことを内緒にして欲しいと
頼んで……東宮様がこちらに来ることになったそうです
慶喜様がよろしいのであれば……
お願いします｣

｢土方……
依里に会って行くか？｣

｢…いえ、今…会えば、依里に気づかれます
悪い予感だけ、当たる奴なんで……｣



俺達は、御所へ行き

密かに優の葬式をした


優の顔には、綺麗に化粧がしてあった


綺麗な寝顔にしか、見えなかった


それでも、もうその目が開くことがないと


わかっているから


涙が流れる




優が…



いなくなるなんて……



｢依里の馬鹿が、毒なんかのんでよぉ
死ななかったから良いものの
目も耳も、ダメになったんだってよ
優……
お前…依里の世話、得意だろ？
頼むよ……
起きて……依里のとこ、行ってくれよ
会いに行きたいって言っていただろ？
俺よか、依里のこと好きだろ？

なんで…

死ぬんだよ！！！馬鹿野郎！！

黙って、いなくなられんの嫌なんだよ！！

知ってるクセに……

馬鹿野郎！！｣


いつもなら、ここまで言うと

〝偉そうに！！〟って怒るだろ？

なぁ？

優











数日後






年が明け


薩長が同盟を組んだと聞いた