恋の相手は強引上司
「謝らなくていい。俺が勝手に執着していただけだし・・・恋実が憶えていないのは無理もないこと
今こうやって恋実の隣にいることは俺の意志なんだから、そんな困ったような顔はするな。
それよりも俺はやっと会えたことがうれしいんだ」

一馬は今の状態に満足しているようだったが私はという

外の流れゆく景色を見つめながらなんとか少しでも出会った時ことを思い出せないかと

記憶をたどっていた。

普段、年配のお客様の接客が多い(若いお客は名取たちが積極的に動く)から若い人だったら

記憶に残ると思うんだけど・・・・さすがに5年以上前だと・・・

なにか・・・思い出せるきっかけはないのか・・・・

「恋実・・・・恋実?」

「・・・・えっ?」

「いや・・・黙っているし・・・いくらなんでもあんな話きいたらひー」

「違うの!」

「え?」

「・・・・・少しでも思い出したくて。だって・・・・一馬にとってはそれが忘れられない
出来事で、今こうして一緒にいるのだってきっかけは私が接客したからなんでしょ。
一馬は憶えてても私が憶えてないなんて嫌なの。
だから・・・・何か思い出せないかなって・・・」

一馬と同じくらいの『好き』になるには時間がかかるかもしれない。

だけど思出せば今よりは一馬の事を近くに感じるかもしれない

だから・・・・

「カエルのボールペン」
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