恋の相手は強引上司
大体、おかしいと思ったのよ。

あんなイケメンが私みたいな地味でさえない恋愛経験すらない女を

好きになるはずがない。

どうせ今日聞いた話だって

本当かどうかわかりゃしない。いくらでも話なんかつくれるもんねっ!


マンションを出て上を見上げた。

新しそうな高層マンションの敷居は想像以上に高く

今の自分と一馬との差を表しているようで悲しみよりも虚しさが増す。

このまま家に帰っても悶々とするだけだと思った私は

その足で『あおい』へと向かった。


「あら~~恋実ちゃん久しぶりじゃない?」

ママは私が最近ここに来なかった理由を知りたいんだろうな~~

あからさまに顔に出ている。

こりゃ~きっと飲み物と一緒にあれこれ聞かれるな~。絶対に言わないけどねっ。

「ね~ね~。あの人とどうなった?」

ほらきたっ!

「・・・・あの人って?」

ぶっきらぼうに答えながら注文したおでんの大根を食べた。

「とぼけちゃって~~一馬君の事に決まってるじゃない。
付き合ってんの?」

ママの言葉に常連客達の視線が私に向けられる

本当に好きだよね~~。人の恋愛事情とか・・・

「別に・・・・付き合ってなし」
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