恋の相手は強引上司
「恋が実ると書いてレミっていうのよ」

「ママ!」

私はガタっと席を立ってママに、なんで言うのと目で訴えた。

「仕方ないじゃない!見てられなかったんだもん」

「はあ?」

納得いかない私は身を乗り出した。

「縁あって今こうして一馬君と知り合ったんだから楽しめばいいじゃない。
一期一会って言葉知ってる?」

「・・・・・・知ってるわよ」

「だったらそんな鬼の形相してないでこの時を楽しみなさい!」

ママの言葉に常連のおじさんたちも賛同するように

「そうだよ!恋実ちゃん一期一会」

「恋実ちゃん!笑顔笑顔」と励まされ?!た・・・

頭じゃわかってるけど今までこの名前でいいことなど一つもなかったから

素直になれずうつむいてしまった。

すると・・・

「凄く素敵な名まえだね。きっと素敵な恋が実るようにって
つけたんだろうね」

「え?」

今までにない相手の反応に驚きながら顔を上げると

目の前には笑いを堪えているような顔ではなく

嬉しそうな笑顔で私を見つめていた。

その途端心臓がバクバクしてどうしていいのかわからず

ウーロンハイの入ったグラスを持つと一気に飲み干して

それでも落ち着かない私はママにおかわりと言おうした時だった。


「俺がその恋の相手になってもいい?」

「・・・・・!!!!!」

一瞬何を言われてるのかわからずキョトンとする私に

一馬というイケメンは笑顔を崩さずもう一度いった。


「だから・・俺が恋実ちゃんの恋の相手になりたいって言ってんの」

その途端、ママの黄色い悲鳴とおっさん達のどよめきが聞こえたが

それと同時に私の頭は真っ白になった。
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