恋の相手は強引上司
「でも・・でも・・・・」

どう返事したらいいのか困惑していると

シャツを掴む手に一馬の手が重なった。

そして一馬の髪の毛が私の頬をかすめ私の耳にチュッとキス音が聞こえた。

「緊張してるのは恋実だけじゃない。俺もすげー緊張してるんだ。

だから・・・その手をゆるめてくれ・・・・じゃないと体中にキスできないよ」

少し掠れた声が耳をくすぐる。

男の人の声が色っぽいと初めて感じた。

私はその声の魔法にでもかかったように握りしめていたシャツをゆっくりと

緩めた。

布の擦れる音で脱がされているわかる。

余裕なんかまったくないし心臓のバクバクが聞こえているんじゃないかって思うと

恥ずかしさで目を瞑って唇を軽く噛んだ。

「恋実・・・」

「な・・なに?」

「好きだよ」

な・・・なに?今言うのってかなり反則じゃない。

だってそれだけでなんかどうでもいいってわけじゃないけど

私までこの人を抱きしめたいって思っちゃうじゃない。

「ずるい・・・・」

「え?」

「初めてで怖いって思うのに・・・・『好きだよ』って言われただけで今凄く幸せだって思っちゃうんだもん」

「・・・・ばか!俺を煽んなよ。優しくできる自信がなくなってきたじゃねーか」

真っ暗な部屋だけど目が少し慣れて一馬の顔が見える。

乱暴な言い方なのにそれに反して私を見つめる瞳はやさしくて

その目に吸い寄せられるように

抱き合い・・・・キスをした。

そして・・・・・

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