恋の相手は強引上司
「なんだ!2人は知り合いだったのか?!」

私が青ざめている横で中根様は私と翼(たすく)君を見ながら

私たちが知り合いだった事をかなり喜んでいる様子だった。

「あ~~。高校の同級生で2年の時同じクラスだったんだよな?」

含みのある顔が怖くて私はただ頷くことしかできなかった。

もし常連のお客様じゃなければこの場を誰かにバトンタッチしたいところだけど

ご指名じゃ~無理だ。

何とか何事もなく終わってほしい。

「あの・・・ネクタイをお探しなんで?」

余計な会話は極力避けよう。そう思いながら気持ちを切り替えた。

「あ~~そうだった。まずはそっちをかたずけておかなくちゃな」


まずは?

その言葉に引っ掛かりを感じ嫌な予感しかしない・・・

「実は、コンペに応募した息子の作品が大賞をもらってね。その受賞パーティーが
来週あるんだよ」

「そうなんですか!それは・・・おめでとうございます」

会いたくない人だけど、賞をとるのは素直に凄いことだ。

「いや~~学生の頃はもう~~チャラチャラしててどうしようもない奴だったんだけどね~
この年でようやく社会人らしくなってやっと心配の種が減ったよ~」

中根様が目を細めて喜んでいるが

私はよ~~く知っている。


この男の本性を・・・・
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