恋の相手は強引上司
「ごめんな~親ばかなんだよ」

翼君は苦笑いをするものの私は別の意味で苦笑いだ。

とっとと用事を済ませて帰ってくれよ!

「おい、翼!・・・・・申し訳ないね~真壁さん。それで、こいつに似合うネクタイを
選んでくれないかな~君の選んでくれたものは外れがないから」

そういってくれるのはありがたいが今回ばかりは遠慮したいのが本音。

だけどそういうわけにはいかず

私はいつも通りお客の顔や雰囲気をみて

何本かのネクタイを差し出した。もちろん予算もあるが

中根様が普段購入している価格帯からワンランク上のものにした。

だってお祝いだって言ってんだもん・・・・

「この辺がお似合いじゃないかって・・・・思いますが・・・」

不本意だが鏡の前で翼君の首元にネクタイを当てて見せる。

「いかがですか?」

あくまで事務的に話す。

「・・・・うん、このシルバーの光沢のあるネクタイもいいし・・・・」

「パーティーにはどのようなスーツを着られるんですか?」

「・・・・ブラック系のストライプ」

「・・・・でしたらもう少し濃い色のシルバーでもお似合いだと思いますが」

濃い目のネクタイを首の位置に当てた。

悔しいけどこのカッコよさは高校時代から変わらないし

正直な話この人だからこの色が似あうじゃなく

なんでも似合うのよ。この腹黒王子は・・・・・

「…じゃあ・・これをもらうよ」

「ありがとうございます。それではー」

プレゼント用にするかどうかを聞こうとしたのだが

なぜか私は腕を掴まれていた。
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