恋の相手は強引上司
でもこの状況は非常にまずい!

だって私、自慢じゃないが男の人を自分の家に入れたことなんて一度もないし

異性から「恋の相手になりたい」だなんて歯の浮くような事を言われたのだって

生まれてこの方昨日が初めてだった。

それに恋愛そのものを排除していたぐらいなんだもん。

冗談としか思えなかった。

それなのに・・・・いろんなものすっ飛ばしていきなり1つのベッドで寝ていたとか

絶対おかしい。

それに大体、この人の事何にも知らないんだよ。

知っているのは一馬って名まえだけで苗字もどこに住んでて

仕事は何してるかもわかんないんだよ。

いくらなんでもこんな事ありえないし

絶対悪い夢でも見てるんだ。


私は自分の両方の頬を手でパンパンと叩きながら

夢だと言ってくれと心の中で叫んでた。


「それ、最新の美容法?」

頭上から笑い混じりの声が聞こえ顔をあげた。

「夢じゃない・・・現実じゃん」

心の声のつもりが思いっきり口に出していた。

「夢?現実って・・・何が?」

「・・・・・なんでも・・・・って・・・きゃー!」

ブラとショーツだけだった事を思い出した私は隠せるものが近くになくて

両手でブラを隠し前かがみになりながら何とか視界に映る場所を最小限に抑えようとした。

「そんなに驚くなよ。言っておくけど俺、脱がせてないからね」

「え?・・・・ちょっと・・・じゃあ~なんであなたが私の家にいるの?」

一馬はちらりと壁の時計に目をやり、早朝間もない事を知ると

ベッドの上の薄手の毛布を私に差し出した。

私はそれを奪うように取ると下着姿を隠すようにくるまった。


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