恋の相手は強引上司
2学期が始まって数日が過ぎた。

相変わらず私は存在をかき消すように学校生活を送っていた。

唯一安心できる場所は図書館で

前にも増して本を読むことに没頭した。

だって何かしていないとあの時の事を思い出してしまうから・・・・

だけど私がお気に入りだった場所にはもう座ってない


図書館を利用する生徒は大体いつも同じ様な顔ぶれだった。

夏休みに失恋を理由に古本屋で大量の小説を購入した。

あの時の事を忘れたくて読んでは売って・・・・また違うものを買っての繰り返しで

そのお陰でなかなか本が減らない。

図書館の本もそろそろ読みたいものがなくなってきて

2学期に入ってからは毎日1冊文庫本にカバーを付け

リュックに忍ばせそれを図書館で読むようになった。

今日も文庫本を読むために授業が終わると

その足で図書館へ・・・・

そして空いている席に座ると早速本を読み始めた。

暫く本を読んでいると誰かわからないが私の隣の席に座った。

他にもたくさん席が空いているのにどうして私の隣なのだろうと

ふと思ったが気にするのはやめた。

だが・・・・

「相変わらず本が好きなんだね」

聞き覚えのある柔らかな声に私の心臓は凍り付いた。
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