恋の相手は強引上司
「はやっ!そんな露骨に嫌って言われとさすがの俺も傷つくかも」

何言ってんのよ。

あの時の事を思えばこんなのかわいいもんじゃない。

女がみんな断らないなんて思ったら大間違い

と思い切り啖呵切ろうと思ったのに

「え?ちょっと・・・なに?」

翼君が私の腕を掴んだ。

「何?っていうかさ~~お前の手めっちゃ冷たいな」

「関係ないじゃん。ねえ手を放して」

手をぶんぶん振ろうとするも翼君はこともあろうに

私の手を自分のコートのポケットに無理やり突っ込んだ。

「ちょ・・ちょっと」

驚いで口をパクパクさせるも翼君は

笑顔で「ほらっ…暖かいだろ?」と王子スマイルだ。

だけどこんなことできない。

「暖かいのはわかったよ。でもこんなことは困るよ」

最後の抵抗を試みたが

「お前さ・・・ここ自分の会社の前だよ。あんまり騒いでると

明日困るんじゃない?」と言いながら翼君は

従業員の出入り口からでる社員をちらりと目で追った。

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