恋の相手は強引上司
「俺はさ、そういうのが嫌で・・・どんな子にも挨拶したり話しかけていたよね。
少しでもあんたたちとの壁がなくなればと・・・・これでも努力したんだよ。
だって短い高校生活、楽しかったって思いたいじゃん」

確かに翼君は誰にでも分け隔てなく接していた。

そういうのが私は素敵だと思ったし好きになった。

「本当の事言うとさ・・・・図書館で告白めいたことを言ったの・・あれ嘘。
好きでも嫌いでもなかった。
友達が悪乗りして、今まで誰からの告白も受け付けなかった俺が
誰かに突然告白したらその相手は
どんなリアクションをするかって実験みたいなことをしようって言いだして。
その時たまたま図書館で本を読んでるあんたが目に入って軽い気持ちで声をかけた」

「嘘・・・・・」

「だけどさ実際は楽しかったよ。もちろん恋実といることが楽しいって事。
実験みたいな事とか途中どうでもよくなってた。だけどさ・・・・こっちが
一生懸命向き合って、楽しい思い出作ろうとか思っても
恋実ってずっと受け身だったよな。自分の意見とか言わないし俺の言うまま
否定もなければ喧嘩だって・・・・」

「でもそれは!私も初めての事で嫌われたくなかったから」

「うん・・・その気持ちもわかるよ。だけどさなんか自分だけが一生懸命で
俺何やってんの?って思うようになってね。そんなときに思いだしたかのように
友達の悪ふざけが始まって。俺も恋実との事でイラッとしてて
そいつらの提案に乗っちゃったってわけ」

「…じゃあ…私がちゃんと翼君と向き合ってどんなくだらないことでも
話したり、こうしたいとかわがまま言っていればあんなことにはならなかったってこと?」


「・・・・・・・・・・・・だな」
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