恋の相手は強引上司
ずっと翼君だけを恨み翼君だけが悪いと思ってた。

自分には何の落ち度もないとすら思ってた。

私にも翼君にあんなことをさせる要因があったってことを今の今知った。

「もちろん俺がやったことは凄く酷いことだったし、悪いと思ってる。
だけどあの頃は若さゆえ素直になれなかったんだよな。
あれからお前とのとこもあって、いい人でいることがなんだかバカバカしくなって
王子なんてもてはやされてけど今回のコンペに参加するまでは
チャラ王子って感じだったかも(笑)」

苦しんでいたのは私だけじゃなかったんだと思うと

今までの自分が凄く恥ずかしくなった。

「私は・・・ただ単に翼君たちに利用されてるだけだと思ってた」

「・・・・あの状況じゃ・・・否定はできないね」

「自分にも要因があったなんてこれっぽっちも思ってなかった。
翼君を責めて・・・何かあったらいつも『こうなったのは翼君のせいよ』って
ごめんなさい・・・」

「いや・・・俺のやったことも十分酷いことだったよ。
だけど・・・こうやってまた会ってちゃんと話せてよかった。だからさ・・・
もし許してくれるなら今日は楽しい酒にしないか?」

翼君がグラスを持つとそれにつられるように私のジョッキを持ったが

「お前・・・そのジョッキ空じゃん」

最初に一気に飲んだせいでジョッキの中は空っぽだった。

「あっ!やだ~~私ったら」

思わず笑みが零れた。

「じゃあさ・・・本題に入るけど…俺たち本気で付き合わない?」

「え?」

「俺は付き合いたいと思ってる」

まさかそんな展開が待っているなんて思っていなかった。

ドキドキするけど・・・・それはうれしいとは違っていた。

「・・・・ごめん。私…実は・・・・」

彼氏がいる・・・そう言おうとしたら

「あれ~~~真壁さんだ!どうしたんです?こんなところで」

まさかの名取だった。
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