恋の相手は強引上司
「か・・・・一馬、離して!服が・・・・コートが汚れちゃう」

腕の力でなんとか一馬から離れようと試みるが男の人の力は私とは比べ物に

ならないぐらい強くて彼の腕の中でムズムズと動く程度だった。

「いいって・・・俺の事で顔がぐちゃぐちゃになるほど泣いてくれてんだろ?」

「・・・・うん・・・でも一馬怒ってるよね・・・・ってか笑ってたよね」

「そりゃ~滅茶苦茶怒ってるし・・・・ごめん、笑った」

でも怒っていると言っている割には声が凄く優しいんだけど・・・・・

(笑ってたからか?)

だめだめ何私は甘えてんの?

声が優しかろうが抱きしめられようが

私のとった行動は軽率だったし怒って当たり前なんだもん…仕方ないよ。

だけど・・・目の前が自分の部屋なのにドアの前で抱き合っているというのは

なんだか・・・・落ち着かないというか・・・・

「あのさ・・・・とりあえず・・・・鍵開けるね」

そういうと一馬の腕が離れた。

私はすぐにバッグを拾い上げ鼻をすすりながら

鍵穴に鍵を刺した。すると一馬の手がさっと前に出て私の代わりに鍵を開けてくれた。

先に中に入り靴を脱いで

涙と鼻水でぐしょぐしょの顔がなんとか少しでもマシになるようにと

面所で顔を洗おうとしたが

ガチャッとドアが閉まり、鍵をかける音が聞こえた直後に

私は再び後ろから一馬に抱きしめられた。


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