恋の相手は強引上司
「マジか・・・・」

「うん、私みたいな地味でパッとしない様な子は恋愛しない方が
楽なんだっておもって・・・・それで・・・」

「いや・・そうじゃなくて・・・・さっきのあの男は恋実の浴衣姿を見たことがあるんだろう?」

「ま~~見たことにはなるけど・・・・一馬の『マジか…』はそこ?」

「当たり前だろう?俺だって見てねーのに」

・・・私は真面目に話をしているのになんだろう~この脱力感は・・・・

「はいはい・・・・で、話を戻すけど。一馬と付き合うようになって恋愛恐怖症みたいなものも
なくなってホッとしているときによくご来店くださっているお客様で
私に縁談話をもってきたんだけど・・・・その相手が」

「翼君っていうやつだったってわけか・・・・」

「はい・・・」

「で?今度は真剣に付き合いたいとか言われた・・・」

「はい・・・・」

「もちろん。答えはNOって言ったよな?」

「も・・もちろん」

「じゃあ~なんでさっきあんなに泣いてた?」

うっ・・・今それ聞くの?

なんかあの超変顔の泣きっ面を見られた事を思い出したら

ちょっと穴に入りたい気分なんですけど・・・・

でも今日は刃向かえない空気だし・・・・

「それは・・・・一馬に嫌われたんじゃないかって思ったり・・・私がもっと早くに
翼君の事話しておけばよかったとか・・・・いろいろ考えてたら」

真剣に言葉を選んで話しているというのに

一馬はさっきの私の顔を思い出したのか再び肩を震わせた。

「一馬?」

「ごめん・・・・いや、会社ではもの凄く真面目であまり感情を出さない恋実が
俺の前では怒ったり、笑ったり・…泣いたり・・・・そういう素の顔を見せてくれて
俺は幸せだなって思ってんの。たしかに男といるとこをみてなんとも思わないわけがない。
大体、俺なんか1度しか会ってない恋実が忘れられなくて何年も思い続けたんだ。
あんなことくらいで俺がお前を諦めると思ってんの?」

「でも・・・・」

一馬はは~~っとため息を吐くと私を抱き寄せた。

「もういいって・・・・でもさ・・・本当に悪いなって思ってんのなら・・・・」

「うん・・・・」

「今から覚悟しろよ」

「え?」

「今日のこと忘れさせてやるよ」

一馬はすくっと立ち上がると手を差し出した。

その手に自分の手を乗せると私の手を握りしめ勢いよく私を立たせそのまま

私たちは寝室へと向かった。


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