恋の相手は強引上司
翌日、いつもの様に時間差で出勤しようとしていると

「お~い。恋実そろそろ行くよ~」と玄関から一馬の叫ぶ声が聞こえた。

「うん。じゃあ私は10分後に家をー」

「ばーか。一緒に行くんだよ」

と頭をこつかれた。

「えええ?ダメだよ。そんなことしたら・・・・ってあっ!」

そうだった・・・・

昨日マンションに戻ると一馬が

『明日からはこそこそしないからな。ちゃんと俺の口から説明もするから
恋実は黙って俺についてこい』

って言ってたことを思い出した。

誰にも文句を言わせないように言うっていってた。

ここで私がごにょごにょしてたらせっかくの一馬の気持ちを裏切ることになる。

だから私は黙って頷いたけど

どうしようめちゃくちゃ緊張してきた~!

一体どうやってみんなに言うつもり?

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「おはようございます」

「おはようございま~す」

社員用の入り口で社員同士、守衛さん様々な人の挨拶が飛び交っていた。

私はいつも通りの表情を作って

会社の中に入ったつもりだが

「顔がこわばってるぞ」と一馬の囁く声が聞こえ思わず顔をあげると

「大丈夫」と頭をポンと乗せたが

ここ入り口なんだけど?!

数人の視線を感じやっぱり緊張が半端ない。このまま回れ右をして

帰りたいとさえ思えてきた。

だがさっきまで横にいたはずの一馬はいつのまにか別の部の男性社員としゃべりながら階段を

上がっていった。


ドキドキしているのは私だけ?
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