恋の相手は強引上司
だが一馬は名取の問いかけに答えず話を続けた。

「実はここに入社するきっかけになったのも接客してくれた彼女がいたからでした。
僕が一方的に好きになって５年以上片思いをし、
日本に戻って猛アタックして先日念願かない婚約することができました。
本来ならプライベートな事を
開店準備で忙しいのにみんなに集まってもらい聞いてもらう話じゃないかもしれない。
だけど同じ会社で働く以上みんなには知ってもらいたかったし、憶測で根も葉もない
噂が飛び交うことで彼女が傷つくような事を避けたかったので僕の口から
報告させてもらった。彼女は僕にとってかけがえのない人です。
だが、結婚しても仕事の上では部下と上司であることは変わりないし
公私混同するような事はないよう、今まで通り仕事をするので
どうか温かい目で見守ってほしい」

一馬は深々と頭を下げた。

私もそれに続くよう最後尾だったけど頭を下げた。

するとパチパチとまばらな拍手が聞こえてきたがそのうちその拍手が

大きくなった。

おめでとうございますという温かい声まで聞こえた。

私の横にいた別の売り場の女子が

「あんなこと言われたら祝福しかできないじゃないですか。おめでとうございます」

「あ・・ありがとう」

そうして課の朝礼が終わった。

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