恋の相手は強引上司
「別に、あなたの苗字が土屋だってこと今日初めて知りましたから」

「ふ~~ん。でもそれ以外でも怒ってるよね。顔に出てるから」

「怒ってますが、今はそういうのじゃなくて・・・」

周りを見てよと目で訴えると土屋課長は顔を上げ視線を感じる方を向いた。

すると止まっていた時間が動き出すように土田課長を見ていた女性陣は

慌てた様子で近くの席に座りだした。

おいおい超魔術かよ。と突っ込みたくなる気持ちをぐっと抑えた。

そして土屋課長は、もう大丈夫だろ?と満足げに私の顔を見ると

またも小さな声で

「恋実の言いたいことは今夜じっくり聞いてやるからとりあえず昼ご飯食べたら?
 時間なくなるぞ」

というと先に鯖の味噌煮に箸をのばした。

「ここの社食は不味いイメージしかないけど鯖の味噌煮だけは美味い」

と私と同じような事を言いながら私より一足先に定食を平らげた。

そして席を立つ際にまたも耳元で

「仕事終わったら家に行くから鍵開けとけよ」とささやくと返却口にトレーを返し社食を後にした。

ひとり残った私はこの後喋ったこともない女子社員たちから

あいつは何者だとでも言うかのような視線を浴びた。

社食にいる女性陣がみんな名取に見える
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