恋の相手は強引上司
驚いている私をみて一馬はフッと笑い、冷蔵庫から勝手に缶ビールを取り出し

もたれながら缶をあけた。

「ってかさ、隠れてチュー以上の事をしてる奴もいるんじゃないの?」

といいながらビールを一口飲み私の反応を楽しむかのようにニカっと笑った。

チュー以外でって言ったらあれしかないじゃない!(恋愛未経験者だが)

私の顔がゆでダコのようにカーっと熱くなるのが自分でもわかる。

そんな私の変化に一馬はお腹を抱えて笑ってる。

「そこ笑うとこじゃない!」

私も馬鹿だ。こんなことクールに聞き流せばいいのに・・・・もう~最悪

これだから恋とか愛は面倒なのだ。

「ははは・・・いやいや・・・裏切らないリアクションみるといじめたくなるんだよね。
それに一度も連絡くれなかったんだからこれくらいの意地悪なんてかわいいもんだぞ」

げっ!男のくせに根に持つタイプとか?

「いてっ!」

眉間にしわ寄せ考えている私にげんこつではなく

缶ビールで私を小突いた。

「は~~~ぁ。なんかさ~ここまで顔に出るとさ、表情だけで会話できそうだわ~
一応言っておくけど、俺は恋実と仕事以外の話がしたかっただけだ。
久しぶりの日本で仕事も正直まだ慣れないし帰宅も遅いからデートも出来ない。
せめて疲れている時に彼女からの電話やメールだけで癒されたいって思っていたのに
お前は一度も連絡ない。しかも話すことがないとか言われて
『はいそうですか』って思えるわけねーだろが!」

ええええええ!?そういうもんなの?

驚く私に一馬は肩を落としながら何か悟ったのか

「・・・ごめん。お前が恋愛未経験者だってことすっかり忘れてたわ」

「うっ・・」

痛いとこ疲れた気分。反論できず、視線を逸らした。
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