恋の相手は強引上司
「課長」

「お~~真壁ちゃん。飲んでるか?」

お酒の好きな西村課長の頬はチークを塗ったように赤く染まっていた。

「まあ・・・適度にですが・・・それより、異動おめでとうございます」

西村課長は前々から次は外商に行きたいと言っていた。

それがようやく念願叶っての異動で上機嫌だ。

「ありがとうな。でも・・・ここでの5年は楽しかったから正直寂しいよ」

眉を下げ寂しそうな表情に私も同じ気持ちになった。

私が唯一信用できる人だったから・・・

そんな私をみて課長は話を続けた

「でも、真壁ちゃんなら僕がいなくてもちゃんと売り場を任せられるから
不安はない。それに・・・今度の土屋課長は僕と違ってかなりのやり手らしいから
真壁ちゃんとなら合うと思うよ」

「・・・・そう・・なんですか?・・」

「そんな不安そうな顔しない。僕、ここの前は人事だったでしょ?土屋君が入社したとき
僕、教育担当だったんだけどその頃から彼は他の新入社員とは違っていてね。
だから、いきなりロサンゼルス支店配属になったんだけど・・・
彼なら真壁ちゃんと合う。うん!それに・・・たしか真壁ちゃんと同い年なんじゃない?」

課長は酔っているせいか普段よりかなり饒舌になっていた。

「・・・・そう・・・らしいですね」

「しかもー」

課長の顔がぐっと近づき私はサッと後ろに引いた
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