恋の相手は強引上司
「な・・なんなんです?」

「めっちゃかっこいいよ」

「・・・・だからなんなんですか」

課長は私のそっけないリアクションに大きくため息を吐いた。

「今日で異動するからこの際言いたかったこと言っちゃうけど、真壁ちゃんは可愛いよ!」

「はい?」

このおっさん相当酔ってない?何が可愛いよなのよ。

冗談にも程がある。

「そこ!」

「はい?」

「自分は絶対可愛くない。何言ってんのこのおっさんって思ってるでしょ~」

げ・・・完全に読まれてた。

「5年間君の上司やってんだからわかるよ。だけどね、上辺だけみて
可愛いとか可愛くないなんて言う男はまだまだ子供なの。僕は真壁ちゃんの
いろんな面をみてトータルでいい女だって思ってる。だからもっと自分に
自信持ってよ。恋愛とかちょっと諦めてるのも僕はわかってる。
だけど・・・君のその若さで諦めるなんておかしいよ」

あ~~誰か課長の暴走を止めて欲しい・・・

「わかりました。ありがとうございます・・・・で?それと今度の課長と
どう関係があるんです?」

課長は手にもってたコップを置くとニヤリと笑った。

「それはね・・・・彼なら真壁ちゃんの良さにいち早く気づくって思ったから」

「は~~~」

「ま~~でも、あれだけのイケメンだからー」

課長は周りの女性社員たちをみると再びコップを持ち残りの焼酎を飲んだ

「・・・・とにかくそういうことだからさ!仕事も頑張って欲しいけど恋愛も頑張れよ。
直属の上司だと仕事だけガンバレなんだけど・・・もう君の上司じゃなくなったから
やっと言えたよ」

と課長は一人自己完結して部長たちのいる席へと異動した。

一人取り残された私は・・・・というと


まーったくすっきりしないし、会ったこともない次の上司と合うなんて言われて

全く面白くない。しかもその新しい上司はきっとまだ飛行機の中だろう~

悪天候だろうがなんだろうが歓送迎会があることがわかっているのにもかかわらず

ギリギリ帰国しようとしていることがそもそもおかしい。
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