恋の相手は強引上司
堤様の姿が見えなくなったので

課長に文句を言わないと!課長を呼ぼうとすると

「真壁さ~~ん」

タイミングがいいのか悪いのか名取が駆け寄ってきた。

「どうしたの?」

「どうしたの?じゃないですよ。なんだったんです?ダンディー堤氏と何話してたんです?
課長まで現れるし・・・」

あ~~面倒くさい。

「何でもないよ」

そんな言葉で引き下がる名取じゃないことはわかっていたが

本当の事を言うつもりもなければ・・・言えるわけないじゃな~~い!なのだ。

「えええ?!絶対なんかあった!ねえ~~教えてくださいよ」

言えるか!

「お礼を言いに来てくれたんですよ」

答えたのは嘘つき課長だった。

「お礼?」

「そう、真壁さんのセレクトがいいおかげでいい仕事が出来てるって
わざわざお礼を言いにご来店くださったんだ。君たちもお客様に
喜ばれる接客を心がけるように・・・・頼むよ」

「は~~い」

絶対に信じてない『は~い』だよ。名取

「とりあえず、持ち場に戻ってね」

気を取り直そうと自分の持ち場に戻ろうとしたが

「真壁さんちょっと・・・」

と課長に呼ばれた。

もちろん名取は何かあったと思っているから私たちの方をジーッと見ていたが

課長に持ち場に戻れよ~~という意味を込めて笑顔で名前を呼ばれた名取は

逃げるように

持ち場に戻った。
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