恋の相手は強引上司
しばらくして

やっと落ち着いた私が売り場に戻ると名取が駆け寄ってきた。

「真壁さん大丈夫ですか?」

「え?あっ・・うん・・ごめんね。」

ちょっと・・・課長はどんなテキトーなことを名取たちに言ったのだろう。

「全然いいですよ。それにしても~~売り場でじゃなくてよかったですよね~~
私だったらもう一生売り場に立てない」

なに?

一生売り場に立てなくなるような事になってんのよ~~

「あははは・・・ごめんごめん」

何がゴメンだか自分でもわかんない。

「いいですよ~~どうせ平日のこの時間は暇なんで、でもよく出るんですか?」

「でる?」

「だから~~鼻血ですよ~~」

「鼻血?!」

おいおい課長は名取たちに私が鼻血を出したって言ったの?

超がつくほどテキトーじゃないの。

「あれ?鼻血だったんですよね~~。土屋課長が『仕事をたのもうとしたら真壁さん、鼻血がでちゃったから
落ち着くまで休ませてる』って言ってたんです。違うんですか?」

「いやいや、本当。もうびっくりしたよ。名取の言うように店内じゃなくて良かったわ」

全く、他の理由はなかったの?

自分が鼻血を出している姿を想像したらなんだか悲しくなってきた。

すると

「あっ!」

「な・・なに?声が大きいわよ」

急に名取が大きな声を出した。

「すみません。言い忘れたことがあって~。あ~~思い出してよかった」
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