恋の相手は強引上司
そして車は高速に乗りると1時間ほどで目的地に着いた。

小高い場所にある公園だった。

駐車場も10台ほどしか止められないから地元の人が利用しているところだろう

決して観光地ではない。

笑顔で『いいところ』と言っていたから

私はてっきり水族館とか遊園地とか映画とかをイメージしていたので

ちょっと拍子抜けしてしまった。

だけど一馬は車を降りると「ん~~~~っ」と大きく背伸びをして

めちゃめちゃ嬉しそうな顔をした。

「恋実」

一馬が私の名を呼びながら手を差し出した。

「なに?」

なんで手を差し出したのかと思っていたら

一馬は小さくため息を吐くと「この手はこうするためなんだけどね」と言いながら

私の手を握った。

「え?!」

男の人と手を繋ぐなんてフォークダンス以来で全神経が手に集中!

どうしよう・・・緊張で手に汗なんかかいちゃったら・・・・とか

力加減がわかんない・・・・

もうドキドキして仕方がないんですけど~~~!

とは言えず。だけど視線はしっかり手にいっていた。

そんな私を見て一馬も

「ごめん、そんなに緊張しないで俺の方が照れちゃうからさ・・・」

と言いながら私より半歩前を歩きだした

私は引っ張られるようについて行ったのだが

一馬の耳がなんだか赤くなっているように見えて


ズキュンとした。
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