恋の相手は強引上司
スーツ売り場の責任者に許可を取り

俺はウエストのサイズを教えると

恋実はスーツをさらっとみてなんの迷いもなくスーツを2着持って来た。

「お客様の体型とお顔色とかをみるとこの2着がお勧めです。
価格帯も同じでお求めやすいものです。一度ご試着致しますか?」

恋実の選んだものはさっきの販売員が選んだ中にはないものだった。

2着のスーツの色は濃紺と限りなく黒に近いグレーだった。

直感で濃紺がいいと思った俺はとりあえず上だけを羽織ってみた。

細身のデザインでありながら伸縮性があり動きやすい。

色も明るすぎず、さっき選んだネクタイにも合う色だった。

「これいいね・・・・下も履いてみるよ。よければそのまま裾の調整を
お願いします」

「は・・・はい。でも裾の処理でしたら担当の者にー」

「いや・・・君にお願いしたいんだけど?真壁さん」

本当は恋実ちゃんって言ってやろうかと思ったけど

今苗字で呼んだだけで再びゆでダコになっているのに名前なんか呼んだら

どうにかなっちゃうんじゃないか。

恋実はうつむきかげんでかしこまりましたと答えたると

失礼しますと言いながら跪いて裾を調整する。

緊張しているのだろう絶対に顔を上げることはなかった。

俺は耳を真っ赤にしながら一生懸命裾を調整してくれている

恋実に釘付けだった。

「1週間で出来上がりますが、お受け取りは店頭と宅配どちらになさいますか?」

「店頭でいいですよ。また真壁さんに会いたいからさ」

「な・・・なにを・・・」

まただ、初めて呼んだ時みたいに仰け反るって・・・・

おれめっちゃ警戒されてるよね・・・
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