君と、美味しい毎日を
11.卵焼き②
自覚はしていた。
昔からずっとそうだったから。
俺は瑶の前だと、仮面が剥がれるどころか最低限の理性さえ無くしてしまう。
本能と欲望がむき出しで、まるで動物だ。
15歳だったあの日から何も成長していない。
あんなにも後悔したのに、また同じことを繰り返す。
今だに、キスひとつ優しくすることが出来ない。
適当な女の子と適当に遊んでることを瑶には知られたくないと思ってた。
軽蔑されるのは構わないけど、無関心を向けられるのはきついから。
なら遊ばなきゃいいじゃないかと自分でも思うけど、どこかで発散しないと俺はいつか瑶を噛み殺してしまいそうだった。
他に本命のいる俺を好きじゃない子、それだけが条件だった。
マミちゃんも宮谷も、だからダメだ。
瑶が知っていたこと自体は別に驚かなかった。 大学なんて狭い世界だしね。
ただ、無関心なことに、
今だに無関心を装う事に腹が立った。
瑶は男としての俺を決して見ない。
家族として、友達としては、側に居たがるくせに、男の俺は見ないようにする。
俺は兄にも友達にもなってやれないのに
。
何度も努力はしたつもりだった。
瑶が望む形で側に居てやれるように。
けど、、ダメだった。
その努力すらも見ない振りをし続ける瑶にイラついて、一度くらい男としての俺をちゃんと見て欲しくて・・・
俺は瑶を抱いた。
最低なのは承知の上で言い訳させて貰うと、瑶が拒むのならやめるつもりはあった。
賭けだったんだ。
瑶がどうしても俺を受け入れられないなら、もう二度と会わない覚悟だった。
でも、
瑶は俺の腕の中で、俺を求めているように見えた。
それは男が陥りがちな幸せな勘違いなのかも知れないけど・・・
俺は幸せだった。
これ以上ないくらいに、瑶で、
満ち足りていた。
カーテンの隙間から差し込む柔らかな光と挽きたての珈琲豆の香りで俺は目を覚ました。
瑶の匂いのするシーツに包まれて、本人の姿を探す。
「あ、起きたの? おはよう」
まるで母親の姿を探す子供のように、瑶
が居ることを確認して安堵した。
瑶は既に身支度を整えていた。
「おはよ。もう着替えちゃったの?」
「えっ、こういう時って先に着替えちゃダメなの?」
「いや、そんなルールはないけど・・・
そのまま隣にいて欲しかったな」
俺としては素直な気持ちを伝えたつもりなのに、瑶は不快そうに眉をひそめる。
「昴が私にそういうこと言うの、すっごい気持ち悪い・・・。
コーヒーいれたけど、いる?」
「うん、飲む」
瑶は俺のコーヒーに砂糖とミルクをたっぷり入れてくれる。
昔、俺が甘いコーヒーが好きだと言ったら瑶は意外だと言って笑ってたな。
「なんか腹へったな〜」
「もう10時過ぎだもん」
「朝ごはん、なんか作るよ。 なに、食べたい?」
「いいの?
じゃあ、卵焼きが食べたいな」
「了解。 瑶は卵焼きは甘い派だったよな?」
「うん、甘いの派」
キッチンに向かう俺に、瑶が言った。
「ねぇ、昴。 二人で朝ごはんを食べるのって、初めてじゃない?」
「そうだっけ?」
「絶対そうだよ」
瑶が見たことないくらい可愛い顔で笑うから、俺も笑った。
俺は瑶のために、炊き立てのご飯と豆腐の味噌汁と甘い卵焼きを用意した。
瑶の好きな甘い卵焼きを食べながら、思う。
望むことはたった一つ。
とてもシンプルなものだ。
毎日、
朝飯も夕飯も瑶と一緒に食べたい。
俺の望みはそれだけなんだよ、瑶。
いい加減にわかってよ。
昔からずっとそうだったから。
俺は瑶の前だと、仮面が剥がれるどころか最低限の理性さえ無くしてしまう。
本能と欲望がむき出しで、まるで動物だ。
15歳だったあの日から何も成長していない。
あんなにも後悔したのに、また同じことを繰り返す。
今だに、キスひとつ優しくすることが出来ない。
適当な女の子と適当に遊んでることを瑶には知られたくないと思ってた。
軽蔑されるのは構わないけど、無関心を向けられるのはきついから。
なら遊ばなきゃいいじゃないかと自分でも思うけど、どこかで発散しないと俺はいつか瑶を噛み殺してしまいそうだった。
他に本命のいる俺を好きじゃない子、それだけが条件だった。
マミちゃんも宮谷も、だからダメだ。
瑶が知っていたこと自体は別に驚かなかった。 大学なんて狭い世界だしね。
ただ、無関心なことに、
今だに無関心を装う事に腹が立った。
瑶は男としての俺を決して見ない。
家族として、友達としては、側に居たがるくせに、男の俺は見ないようにする。
俺は兄にも友達にもなってやれないのに
。
何度も努力はしたつもりだった。
瑶が望む形で側に居てやれるように。
けど、、ダメだった。
その努力すらも見ない振りをし続ける瑶にイラついて、一度くらい男としての俺をちゃんと見て欲しくて・・・
俺は瑶を抱いた。
最低なのは承知の上で言い訳させて貰うと、瑶が拒むのならやめるつもりはあった。
賭けだったんだ。
瑶がどうしても俺を受け入れられないなら、もう二度と会わない覚悟だった。
でも、
瑶は俺の腕の中で、俺を求めているように見えた。
それは男が陥りがちな幸せな勘違いなのかも知れないけど・・・
俺は幸せだった。
これ以上ないくらいに、瑶で、
満ち足りていた。
カーテンの隙間から差し込む柔らかな光と挽きたての珈琲豆の香りで俺は目を覚ました。
瑶の匂いのするシーツに包まれて、本人の姿を探す。
「あ、起きたの? おはよう」
まるで母親の姿を探す子供のように、瑶
が居ることを確認して安堵した。
瑶は既に身支度を整えていた。
「おはよ。もう着替えちゃったの?」
「えっ、こういう時って先に着替えちゃダメなの?」
「いや、そんなルールはないけど・・・
そのまま隣にいて欲しかったな」
俺としては素直な気持ちを伝えたつもりなのに、瑶は不快そうに眉をひそめる。
「昴が私にそういうこと言うの、すっごい気持ち悪い・・・。
コーヒーいれたけど、いる?」
「うん、飲む」
瑶は俺のコーヒーに砂糖とミルクをたっぷり入れてくれる。
昔、俺が甘いコーヒーが好きだと言ったら瑶は意外だと言って笑ってたな。
「なんか腹へったな〜」
「もう10時過ぎだもん」
「朝ごはん、なんか作るよ。 なに、食べたい?」
「いいの?
じゃあ、卵焼きが食べたいな」
「了解。 瑶は卵焼きは甘い派だったよな?」
「うん、甘いの派」
キッチンに向かう俺に、瑶が言った。
「ねぇ、昴。 二人で朝ごはんを食べるのって、初めてじゃない?」
「そうだっけ?」
「絶対そうだよ」
瑶が見たことないくらい可愛い顔で笑うから、俺も笑った。
俺は瑶のために、炊き立てのご飯と豆腐の味噌汁と甘い卵焼きを用意した。
瑶の好きな甘い卵焼きを食べながら、思う。
望むことはたった一つ。
とてもシンプルなものだ。
毎日、
朝飯も夕飯も瑶と一緒に食べたい。
俺の望みはそれだけなんだよ、瑶。
いい加減にわかってよ。