君のそばで会おう ~We dreamed it~
甘い卵焼き、甘いキス
待ちくたびれている可南子の携帯に、想太から電話が入った。
「可南子、ごめん。
今、駅に着いたから、ワインか何か買ってこようか?」
「要らない。
いいから、早く来て」
可南子は電話を切ると、全ての料理を温め直した。
きっと、想太はお腹を空かしているはずだから・・・
「可南子、本当にごめん。
俺的には7時には間に合う予定だったんだけど、こんなに遅くなって」
「いいよ。
想ちゃんは、部長で忙しい身なんだから。
大丈夫だよ」
可南子はそう言うと、想太をテーブルの前に座らせた。
「今日はカレーにしたんだけど、想ちゃんの大好物も作ったんだ。
何だと思う?」
可南子は楽しそうに聞いてきた。
「何だろう?」
想太は好き嫌いのない子供だったため本当に思い出せなかった。
「じゃ~ん」
可南子がテーブルの上に置いたのは、黄色い艶のある卵焼きだった。