君のそばで会おう ~We dreamed it~
「そろそろ、帰ろうか?」
想太は、可南子に聞いてみた。
最初から長居をして、可南子に嫌われたくなかったからだ。
「うん、どっちでもいいよ。
想ちゃんが、帰りたいときで・・・」
「そんなこと言ったらずっと帰らないぞ」
可南子は笑って何の否定もしなかった。
「可南子、なんで急に俺に優しくなった?
毎日、ご飯食べに来てもいいなんてさ・・・」
可南子はうつむいた後に、想太の目を真っ直ぐ見て答えた。
「私は、子供の時から想ちゃんの事を可哀想とか、不憫とか一度も思ったことはなかった。
周りの人達はよく言ってたけどね。
それは、きっと、想ちゃんの事を一番に愛してくれているおばあちゃんが近くにいてくれたからだと思うんだ。
もう、私達は立派な大人になったけど、でも、大切な人を思う気持ちは変わらない。
想ちゃんが今まで味わえなかった普通の事をしてあげたいってただ思っただけ・・・」