君のそばで会おう ~We dreamed it~
言いたかったこと
可南子は福岡へ向かう新幹線の中で、ため息ばかりをついていた。
今回は飛行機が苦手な可南子のために、時間はかかるが新幹線にした。
しかし、時間がたっぷりある分、可南子は色々考え過ぎた。
想太は横で気持ち良さそうに寝ている。
可南子は、自分の親に想太の事をはっきりと伝えていなかった。
企画マーケティング部の部長の柿谷さんとしか伝えていない。
それは嘘ではないが、可南子の心は重かった。
想太が目を覚まし横で大きく伸びをしている。
「想ちゃん、大丈夫?」
「何が?」
「うちの親・・・」
想太は小さくため息をついた。
「すごい苦手だけど、でも、逃げるわけにはいかないだろ?
でも、考えたら、めちゃくちゃ怖い」
想太は大げさに身震いをしながらふざけてそう言った。
「やめとく?」
可南子は真剣に尋ねた。
「大丈夫だよ・・・
もう、俺は、12歳の想太じゃないんだから」