君のそばで会おう ~We dreamed it~
想太は、ずっと下を向いたまま聞いていた。
「君が急に福岡からいなくなって、可南子はとても変わってしまってね・・・
ちょうど、思春期の時期が重なったせいもあったのか、全く笑わなくなった。
私と家内は、東京の学校にやったことをとても悔やんだもんだよ。
寮の先生に、可南子の事をお願いしに私達は何度も東京へ足を運んだ」
可南子は昔を思い出したのか、窓のある方へ移動して涙を堪えている。
「実は、私は、可南子に黙って君の事をひそかに捜したこともあったんだよ。
でも、時は流れ、可南子も大人になり、君の事も何も言わなくなって、私達夫婦も穏やかな日々を送っていた」
想太は、また、逃げ出したくなっていた。
きっと、この人達は何があっても俺を許すことはないのだろう・・・
「柿谷想太君、いや、松井想太君・・・
私達が何を言っても、可南子は君と結婚するだろう・・・」