君のそばで会おう ~We dreamed it~
可南子は12歳で親元を離れて寮に入り、しばらくは寂しくてずっと泣いていた。
そんな中で、想太に手紙を書くことが一つの楽しみだった。
可愛いレターセットを何種類も買って、一日の出来事を便箋にしたためた。
想太から返事が来ないことに気づいても、それでも手紙を書き続けた。
夏休みになって想太に会ったらたくさん文句を言ってやろう・・・
そして、中1の夏休み、想太がいなくなったことを知った。
あの時の絶望感と悲しみは、それからの先の私を苦しめた。
大きなトラウマを抱えてしまった私の心は、人を愛することに臆病になっていた。
この15年間を、想太の住所の書き間違いで笑って済ませることなんて到底できなかった。
「想ちゃんは、その後は幸せだった?
東京の親戚の人達は、親切にしてくれた?」
想太を許せないと思いつつも、想太の事が気になってしようがない・・・