君のそばで会おう ~We dreamed it~
「可南子は、もちろん、最初は信じなかったよ。
というより、俺自身も訳が分からないっていう状態だったから・・・
まずは、手紙が一体どうなったのか・・・
たぶん、俺が住所を書き違えたとしか思えない。
ま、12歳のガキだっだから、間違えたんだろうな、きっと・・・」
「柿谷さんは、この15年、可南を思い出す事はあった?」
瀬戸は何をどう言えば納得してくれるのか、想太には分からなかった。
「いつも、思い出してた・・・」
「どういう風に?」
「可南子の思い出は、俺にとっては家族の思い出のようなもの。
幸せの象徴が可南子だった。
小さい時の俺の家族はばあちゃんと可南子だけだったから。
だから、矛盾してるのが、憎みたいのに思い出せば幸せな気持ちになること。
憎めれば楽だったのかもしれない。
でも、憎めるはずがない、心は死ぬほど好きだったガキの頃のままで止まってるんだから」