君のそばで会おう ~We dreamed it~
想太は、部長室のソファに腰掛けて話し始めた。
「俺を引き取ってくれたおじさんは、本当にいい人だよ。
あんな大きな会社を作ったのに、独身で子供がいなかった。
俺のことを息子として扱ってくれたよ。
中学の時に、俺の頑張り次第でこの会社をお前にやってもいいって言われた。
その時の俺は、絶対にこの会社を継いでやるって思った。
貧乏で悔しい思いばかりしていたから、福岡の奴らを見返してやるって・・・」
「その中に、私も入ってたのね・・・」
「入ってたよ。
だって、一番見返したかった奴は、可南子の親だったから・・・」
想太は不遇な少年時代を送ったために、今のこの現状に満足していた。
お金持ちになったなら可南子と結婚できると、小さい頃に信じていたように・・・
「もう、十分に驚いたわ・・・
だからもうこれ以上、私にまとわりつかないで。
明日からはただの部長と部下の関係、それだけのこと・・・」