君のそばで会おう ~We dreamed it~
想太は、鞄の中からファイルを取り出した。
そして、この横浜支社の過去5年間の実績を想太の言葉で説明し始めた。
坂上も最初は大きな態度で聞いていたが、想太の仕事の細かさに舌を巻いてしまった。
想太は大口の営業や企業買収の関わる派手な仕事の実績は脇に置き、反対に、社内の備品や接待など見逃してしまいそうな数字のデータを突き付けてきた。
坂上は指摘されれば困る事でもあるのか、ただ頷くばかりだ。
可南子は、山本課長が想太の力量をよく褒めていた事を思い出した。
上の人間にもはっきり物が言えること。
でも、それは負けず嫌いの想太の性格が、ここまでの努力をさせていた。
このデータも、一体いつ調べたのだろう・・・
坂上は明らかに態度が変わっていた。
想太にどんな弱みを握られたのか、可南子には見当もつかなかった。
「部長、お昼はこちらで準備しましょうか?」
坂上は気を遣って想太に聞いてきた。
「いえ、結構です。
急な仕事を思い出してこれから帰らなきゃならないので・・・」