君のそばで会おう ~We dreamed it~

~15年前~


可南子は東京の女子校に入学してから、初めての夏休みを迎えた。

想太からの手紙は相変わらず届かなかったが、もう、そんなことはどうでもよかった。
明日になったら想太に会える。
可南子は、8月が誕生日の想太のためにプレゼントも買っていた。

想太の大好きなオートバイの写真が載っているアルミのペンケースを、きっと想太は喜んでくれるはず・・・



「可南子、よく聞いて・・・
松井想太君は、突然、おばあ様が亡くなられて、どこかよそに転校しちゃったの・・・」



「えっ?」



「だから、想太君の家に行ってももう誰もいないのよ」



「うそ・・・

そんなこと信じるわけないじゃない。
そうやってお母さん達は私と想ちゃんを引き離そうとしてるのなんて、分かってるんだから」


可南子は、着いたばかりの家をすぐに飛び出した。

想太へのプレゼントを持って、ただひたすら走った。


きっと、想太は家で待ってくれている・・・






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